研究実績の概要 |
当初は間質性肺炎合併肺癌の腫瘍微小環境における2型自然リンパ球(ILC2)の働きについて研究を進めていたが、間質性肺炎合併肺癌の動物モデル作成が困難なこと、ヒトサンプルを用いた2型自然リンパ球の解析が技術的に難しかったため、転移性肺癌微小環境におけるILC2の働きに注目して研究を進めることとした。乳癌肺転移モデルマウス作成し、肺転移における転移巣と肺実質におけるILC2の数や分布、活性化の状況を調べた。コントロールには正常マウスの肺を用いた。その結果、ILC2が産生する2型サイトカインであるIL-13が骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)に作用し、腫瘍増殖を許容する微小環境を転移カスケードを通して構築している可能性を発見した。この研究成果を最終年度に海外の学術誌へ投稿した。これまでに2型自然リンパ球の免疫作用について以下の1本の原著論文と2本のレビューを投稿した。 1). Ito, A.; Akama, Y.; Satoh-Takayama, N.; Saito, K.; Kato, T.; Kawamoto, E.; Shimaoka, M. Possible Metastatic Stage-Dependent ILC2 Activation Induces Differential Functions of MDSCs through IL-13/IL-13Rα1 Signaling during the Progression of Breast Cancer Lung Metastasis. Cancers 2022, 14, 3267. 2)伊藤温志、赤間悠一、島岡要。免疫チェックポイントと2型自然リンパ球。 Medical Science Digest 2021. 47(2): 97-100. 3)伊藤温志、赤間悠一、島岡要。2型自然リンパ球と癌:促進と抑制の狭間で。 BIO Clinica 2021. 36(12): 64-67.
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