研究実績の概要 |
小細胞癌、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)を含む肺高悪性度神経内分泌癌の手術症例のホルマリン固定パラフィン包埋組織ブロックを確保するとともに、予後や臨床病理学的特徴の調査を行った。 小型(30mm以下)の大細胞神経内分泌癌(LCNEC)は、3つの神経内分泌マーカー(synaptophysin, chromogranin A, CD56)の発現パターンによって、3個全ての神経内分泌マーカーが陽性となる群と、1~2個の神経内分泌マーカーが陽性となる群に分けることができ、前者は後者に比べて有意に予後不良で、リンパ節転移の頻度も高く、小細胞癌と類似する臨床病理学的特徴を示すことが確認された。 また、腫瘍部・正常部を含むようにして、通常の組織アレイと比べてより広範囲をカバーできる組織アレイ(スパイラルアレイ)を作成し、3つの神経内分泌マーカー(synaptophysin, chromogranin A, CD56)と新規神経内分泌マーカーであるINSM-1について免疫染色を行った。synaptophysin, chromogranin A, CD56, INSM-1とも陽性群は陰性群に比べて予後不良であったが、synaptophysinの無再発生存期間とINSM-1の全生存期間、無再発生存期間については陽性群が陰性群に対して有意に予後不良であった。さらに、多変量解析では、INSM-1陽性が最も強い予後不良因子であるということが確認された。このことから、INSM-1は、肺高悪性度神経内分泌癌において、神経内分泌マーカーとしてのみならず、予後に強い影響を与える因子であることが示された。
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