研究実績の概要 |
本研究を始めて以降、小細胞癌は4つの因子(ASCL1, NEUROD1, POU2F3, YAP1)の発現により4タイプに、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)は主にRb1の不活性化の有無で非小細胞癌型と小細胞癌型の2タイプに分類することが提唱され(Rudin et al. Nature Rev Cancer 2019)、この考えは、肺神経内分泌癌の分子分類として受け入れられつつある。
分子分類は免疫染色でも再現可能であり、小細胞癌及びLCNECに対して、ASCLC1, NEUROD1, POU2F3, YAP1及びp53, Rb1の免疫染色を行った。ASCL1, NEUROD1はdoble-positiveとなる例が多かったのに対して、POU2F3陽性の神経内分泌癌は、神経内分泌マーカーの発現が有意に低く、POU2F3のみ陽性と独立性があることがわかった。これらの結果は、既報(Baine et al, JTO)とも一致する結果であったが、それに加えて、分子分類によって、形態学的な特徴や臨床病理学的な特徴にも差があるようであり、この点について客観的データとともに結果を詰める予定である。
分子分類そのものが予後と関連する可能性が高く、当初予定していた亜型ごとに予後マーカーを選出する必要性が低いこと、また亜型ごとの予後マーカー選出には当初予定していた症例数では足りないことが予想されるため、この点については見送るか、症例数、結果に応じて、研究デザインを柔軟に変更する可能性も考慮している。
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