研究実績の概要 |
本研究を始めて以降、小細胞癌は4つの因子(ASCL1, NEUROD1, POU2F3, YAP1)の発現により4タイプに、大細胞神経内分泌癌(LCNEC)は主にRb1の不活性化の有無で非小細胞癌型と小細胞癌型の2タイプに分類することが提唱され、この考えは、肺神経内分泌癌の分子分類として受け入れられつつある。 小細胞癌及びLCNECに対して、ASCLC1, NEUROD1, POU2F3, YAP1の免疫染色を行って免疫染色ベースの分子分類を行うとともに、他の臨床病理学的要素との相関を調べた。
POU2F3陰性小細胞癌とPOU2F3陰性LCNECでは顕著で有意な細胞組織学的特徴の差がみられたが、興味深いことに、POU2F3陽性小細胞癌とPOU2F3陽性LCNECでは細胞組織学的特徴が近寄るという結果が得られ、POU2F3陽性の癌は、小細胞癌とLCNECの鑑別が困難となることが示唆された。また、POU2F3陽性の小細胞癌とLCNECは、TTF-1や神経内分泌マーカーの発現が有意に低いだけでなく、bcl-2, c-kit,の発現が有意に高く、tuft cell-lkikeなsignatureを有していることがわかった。さらにPOU2F3陽性癌は、POU2F3陰性癌と比べて、有意に予後良好であることも示唆された。このように、POU2F3陽性癌には、臨床病理学的な独立性があり、良好な予後を示すことから、この特殊なタイプを同定することは、治療戦略を考える上でも重要性であると結論づけた
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