研究課題/領域番号 |
19K18216
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
諏澤 憲 岡山大学, 大学病院, 助教 (90839713)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MET肺がん / 薬剤耐性 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
本研究は、MET遺伝子異常肺がんに対するMET標的治療の過程で必ず問題となる獲得薬剤耐性について、多彩な耐性に関与する機序を明らかにし、その耐性機序スペクトル別に最適な耐性克服の治療戦略構築を目的としている。 令和2年度は、初年度に樹立したMET遺伝子の高度増幅を有する肺癌細胞株であるH1993とEBC1細胞株のクリゾチニブ(MET阻害薬)耐性株における、薬剤耐性機序の探索を行った。両細胞株の親株および2種の異なるクローンの合計6細胞株を対象に、RNAシークエンスによる網羅的遺伝子発現解析を実施し、耐性機序に関与する遺伝子発現の変化を検討した。結果として、耐性株の一つではMET遺伝子発現の著明な低下を認め、それは元々有していたMET遺伝子のコピー数異常(増幅)の消失に起因することを明らかにした。一方でEGFR遺伝子のコピー数異常(増幅)を獲得しており、その細胞の増殖・生存をMETシグナル経路からEGFRシグナル経路へ一部スイッチしており、EGFR阻害薬であるアファチニブ単剤へ感受性を示し、さらにクリゾチニブとアファチニブの併用により強い増殖抑制効果を得た。その他の耐性株 3種に関しては、RNAシークエンスにより得られた遺伝子発現プロファイルの解析を行い、複数の耐性候補分子リストを作成した。現在これらの候補分子に着目し、RNA干渉実験・低分子化合物などを用いて薬剤耐性の関連性の検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MET異常肺がん細胞株を用いて複数のクリゾチニブ耐性クローンを樹立し、そのうち1つのクローンにおける新規薬剤耐性機序を同定し、さらにその耐性克服治療の解明に成功した。その他のクローンにおいても、薬剤耐性に関与すると思われる標的候補の同定に成功しており、研究は順調に進展していると考えられる
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今後の研究の推進方策 |
現在検討中の耐性機序の候補因子に対しする検証実験を継続し、耐性機序および耐性克服の解明を行う。またBaF3細胞を用いたMETエクソン14スキッピングモデルの作成・薬剤耐性モデルの作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入において、一部当初の見込みよりも少額で購入出来たものがあったため、194,149円の余剰が生じた。次年度に繰り越して解析費用および物品購入に充当する予定である。
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