本研究は、呼吸器外科領域における経皮血液ガスモニタ使用の有用性および安全性を検証したものである。対象症例は、33症例であった。術前血液ガス分析検査、術後血液ガス分析検査、術中血液ガス分析検査においてそれぞれ施行された血液ガス分析検査は計121回施行され、そのうち術中血液ガス分析は65回施行されていた。経皮血液ガスモニタのCO2とPaCO2の相関係数はr2 = 0.923(n = 121)であり、EtCO2とPaCO2の相関係数はr2 = 0.650(n = 65)であった。全症例において、術中は片肺換気で管理されていたが、換気量の減少にもかかわらず、多くの症例では著明なCO2貯留は認めず、抜管直後の自発呼吸の際に最もCO2が貯留する傾向をしめした。さらに、術後徐々にCO2貯留をきたし、CO2ナルコーシスと診断され、一般病床からICU管理となった症例を認め、経皮血液ガスモニタによる24時間モニタリングの有用性が示された。 結果として、単アームの観察研究であり、使用しないコントロールデータはないことが問題ではあるが安全性についてもいずれの使用症例も有害事象なく経過した。 これらのことから、経皮血液ガスモニタには、EtCO2と比較しても著明なPaCO2との相関を示し、術中にもより正確な呼吸管理が可能となる可能性が示された。また、動脈穿刺と比較しても安全性の高い検査であると考えられ、高リスク症例に対する有効な周術期管理のひとつとなる可能性が示された。 当該研究は結果を第73回胸部外科学会にて発表を行った。
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