研究課題/領域番号 |
19K18225
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹ヶ原 京志郎 近畿大学, 大学病院, 助教 (90809534)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Klotho / アンチエイジング遺伝子 / 肺癌 / 個別化医療 / 上皮間葉転換 / EMT / lipocalin-2 |
研究実績の概要 |
本研究では、「アンチエイジング遺伝子」Klotho発現と癌細胞の上皮間葉転換(EMT)の関連について詳細に検討する。それは、肺癌の浸潤・転移能の獲得にKlotho遺伝子の欠落が関与しているかどうか、さらに、Klotho遺伝子発現・再獲得による抗がん剤に対する感受性の増加、癌転移・浸潤能の抑制効果、癌化予防が可能かどうかを明らかにすることである。そのために、肺癌切除検体におけるKlothoとEMT関連マーカーの発現を評価し、さらにヒト癌細胞にアンチエイジング遺伝子を過剰発現させ、癌浸潤・転移能の抑制効果の有無、抗がん剤に対する感受性の増加をみとめるかどうかを検証した。令和2年度は、Klotho過剰発現肺癌細胞株における薬剤感受性を検討する、また、Klotho過剰発現肺癌細胞株における代謝活性の測定という2項目に焦点を絞った。前者に関しては、細胞実験で、Klotho過剰発現細胞に対する薬剤感受性について、Pemetrexedが親株に比して優位に感受性をみとめた。また、N-cadherinはPemetrexedにより誘導されるが、Klotho過剰発現細胞ではN-cadherinの発現が完全に抑制されており、Pemetrexed曝露によりKlotho蛋白発現が上昇するといった一種の相乗効果もみとめた。また、mRNA解析ではKlotho過剰発現細胞株においてlipocalin-2の発現が亢進しており、このことが肺癌におけるEMTを制御している可能性が示唆された。 研究成果は英文誌Oncology Lettersに論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度末での進捗状況は研究全体として概ね当初の計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度はKlotho発現肺癌細胞の代謝解析をさらに深めるとともに、肺腺癌以外の癌種におけるKlotho発現を臨床検体を用いて解析を行なっていく予定である。前年度の実験の遅れは、動物実験の開始により当初の計画どおりに遂行し、予算を執行できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年度、新型コロナウイルスの影響で実験が滞ってしまったため、その遅れを昨年度で取り戻すことは出来つつあるが、確認・追加の実験のため令和4年度も研究費の使用が必要になった。
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