研究実績の概要 |
吸入麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)によるウサギおよびラット脳内Na,K-ATPase活性に対する濃度依存性、作用時間依存性および温度依存性の測定を開放系で行い、データを得たので論文を作成中であり、公表を予定している。 吸入麻酔薬の揮発を防ぎ、水系溶媒中での麻酔薬濃度を安定させて作用を測定するために麻酔薬の添加の方法および閉鎖系での測定系に改良を加えてNa,K-ATPase活性に対する麻酔薬の作用を測定した。その結果も、論文を作成中であり、公表を予定している。 水系溶媒中の吸入麻酔薬濃度を正確に測定することを目的に、NMR(核磁気共鳴)測定の専門家の協力を得て、イソフルラン、セボフルラン、デスフルランの濃度を測定した。この結果も公表論文中に記載して報告する。 吸入麻酔薬はNa,K-ATPase活性よりもCa,Mg-ATPase活性に対して強く作用するという報告がある。両ATPaseとも脂質ラフトに存在する酵素であり、全身麻酔薬の作用の場は脂質ラフトであるという説が最近出されていることから、全身麻酔薬による脂質ラフトの流動性や構造の変化があることを生細胞で可視化するために、細胞培養を開始した。 培養細胞であるNeuro-2A細胞の破砕物から、遠心分離操作によりミクロソーム分画を得て活性を測定し、Na,K-ATPase活性およびCa,Mg-ATPase活性がミクロソームに回収されることを確認した。今後、さらに精製を行い、Na,K-ATPase活性およびCa,Mg-ATPase活性に対する麻酔薬の作用を比較検討する予定である。
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