研究課題/領域番号 |
19K18241
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
加納 史也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (40801626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ミクログリア / エクソソーム / 神経障害性疼痛 |
研究実績の概要 |
マウス384 SeraMir qPCR profilerを用いて上記3群マウスの血清およびミクログリア由来エクソソームのmiRNAの発現パターンを比較した。また TaqMan Array Rodent MicroRNA A+B Cards Setを用いてmiRNAの正確な定量評価を行った。 マウス血清エクソソームでは、Sham群と疼痛群、疼痛群と治療群マウスでそれぞれ5倍以上増減するmiRNAの絞り込みを行った。候補miRNAはSham群と疼痛群で33種、疼痛群と治療群で19種に絞り込みを行った。in vitroでは、マウス由来ミクログリア(M0ミクログリア)をLPSとIFN-γを添加し、活性型へ誘導した(M1ミクログリア)。M0とM1が由来のエクソソームついても同様に実験を行った。マウス血清由来エクソソームと同様にmiRNAの絞り込みを行ったが、in vivoと比較し発現量は低く、またターゲット候補のmiRNAも概ね一致しなかった。我々は、ミクログリア以外の細胞由来エクソソームの影響の検討を行ったが、現時点で明らかなターゲット細胞の同定には至っていない。 マウス血清由来エクソソーム関連miRNAの発現を脊髄後根組織のRT-qPCRで検証を行った。Sham群と疼痛群で33種、疼痛群と治療群で19種だった候補miRNAを脊髄後根組織のRT-qPCRの結果から、さらに疼痛関連miRNA16種、鎮痛関連miRNA 8種に絞り込みを行った。このそれぞれの関連miRNAから、microRNA.orgで入手可能なWeb上の予測ツールを使用し、共通標的遺伝子リストを作成した。 また、本研究中に幹細胞が分泌するエクソソームが活性化したミクログリアを鎮静することを見出した。神経科学分野の国際誌に投稿し、追加実験中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス384 SeraMir qPCR profilerを用いて上記3群マウスの血清およびミクログリア由来エクソソームのmiRNAの発現パターンを比較した。また TaqMan Array Rodent MicroRNA A+B Cards Setを用いてmiRNAの正確な定量評価を行った。 マウス血清エクソソームでは、Sham群と疼痛群、疼痛群と治療群マウスでそれぞれ5倍以上増減するmiRNAの絞り込みを行った。候補miRNAはSham群と疼痛群で33種、疼痛群と治療群で19種に絞り込みを行った。in vitroでは、マウス由来ミクログリア(M0ミクログリア)をLPSとIFN-γを添加し、活性型へ誘導した(M1ミクログリア)。M0とM1が由来のエクソソームついても同様に実験を行った。マウス血清由来エクソソームと同様にmiRNAの絞り込みを行ったが、in vivoと比較し発現量は低く、またターゲット候補のmiRNAも概ね一致しなかった。我々は、ミクログリア以外の細胞由来エクソソームの影響の検討を行ったが、現時点で明らかなターゲット細胞の同定には至っていない。 マウス血清由来エクソソーム関連miRNAの発現を脊髄後根組織のRT-qPCRで検証を行った。Sham群と疼痛群で33種、疼痛群と治療群で19種だった候補miRNAを脊髄後根組織のRT-qPCRの結果から、さらに疼痛関連miRNA16種、鎮痛関連miRNA 8種に絞り込みを行った。このそれぞれの関連miRNAから、microRNA.orgで入手可能なWeb上の予測ツールを使用し、共通標的遺伝子リストを作成した。 今後は作成した遺伝子リストを用いて、ノックアウトマウスおよびノックアウト細胞を用いて、遺伝子の働きについて検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
疼痛群と治療群において同定した遺伝子群のmRNAをRT-qPCRで比較する。in vitroでは、siRNAを用いた目的遺伝子のノックダウンを行い、M0/M1/M2ミクログリアでの発現変化と、産生される炎症性/抗炎症性サイトカインの変化をRT-qPCRで比較する。またCRISPR-Cas9の使用も検討している。 in vivoでは、siRNA発現AAVベクターの脊髄注入やDesigner Drugs(DREADD)による同定遺伝子の発現抑制を行う。モデルマウスの疼痛評価はvon Fray testで評価し、脊髄L5/L6の組織学的解析とRT-qPCRで遺伝子解析の評価を行う。 本実験によって、末梢から起因する疼痛の慢性化機構や末梢神経と中枢神経の相互関係の一端を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から行う予定だった、siRNA発現AAVベクターの脊髄注入やDesigner Drugs(DREADD)による同定遺伝子の発現抑制実験がコロナの影響により大学施設への立ち入り禁止、試薬の購入困難な状態から実験が止まっていた。そのため、同実験に使用する予定であった研究費が余剰したが、2021年度の実験計画で使用する予定とした。
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