本研究では、術後認知機能障害を予防するために、腸内フローラの環境変容に注目した予防戦略の確立を目標として本研究を進めた。①麻酔下に手術侵襲を与えたマウスにおける、腸内フローラ多様性の変容を確認、②同マウスの血漿・脳組織におけるサイトカインやmRNA変化の解析、③パスウェイ解析などを駆使した腸内フローラ変動と脳内炎症との関連性の証明、④アンタゴニストとなるような抗炎症性サイトカインやメッセンジャーRNA(mRNA)発現変化を抑制するmiRNAを投与し、実際の認知機能への影響を確認する といった4項目を研究の主軸として研究を予定した。①、②については実施し、腸内フローラの変容、そして脳組織における、mRNAの変化を評価することができた。
コロナ禍を経験し、全体的な研究進行の遅れがあったこと、そして各学会への参加ができなかったことは残念ではあるものの、本研究で得られた知見を次の研究に生かすことができそうであり、その意味では非常に価値がある。
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