本研究の目的のひとつめである「術後24時間以内の重篤な有害事象の発生状況の把握と解析」に関しては,昨年度までに研究計画をほぼ達成できている。 本研究の目的のふたつめである「術後の重篤な有害事象を減少させるための対策としてのPACU開設の有用性検証」に関しては,その方法を慎重に検討した。本研究のプラットフォームとして設立した「日本PACU研究会」では,コロナ禍において難渋したものの,2022年6月に初めての対面会議を開催し,本研究について研究協力者である祖父江氏と白神氏をはじめとする総勢15名で協議することができた。これまでにPACUを開設した施設の経験や,PACU開設を検討中の施設のアイデアなどを共有しながら,「PACU開設の有用性検証」の最善の方法について議論した。 その結果,昨年度はステップウェッジクラスターランダム化比較試験(エビデンス強)を行う方針としていたが,実現可能性が低いと判断せざるを得ず,オンラインデータ登録システムによる前後比較試験(エビデンス弱)を行うことに決定した。事前に全国調査をして研究参加施設を絞り込む方針に変更はない。 日本PACU研究会のホームページ(https://www.j-pacu.jp/)では,上記方針の転換に合わせて募集案内を変更したり,定期的にニュースとして本研究に関する情報を発信している。また,本研究の構想と全国調査の予告を学術集会や各種セミナーでの講演の際に説明して広く周知している。
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