研究課題/領域番号 |
19K18250
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山北 俊介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10836092)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | GRK2 |
研究実績の概要 |
本研究はG蛋白共役型受容体キナーゼ2 (GRK2)が知覚神経に存在し、痛覚伝達を制御することで術後痛の成立維持に関わる可能性を調査することを目的とする。ラット術後痛モデルにおけるGRK2の一次知覚神経における発現変化について調査し、GRK2阻害剤の術後痛モデルにおける痛覚過敏に与える影響について調査を行うことを計画している。 前年度はラット術後痛モデルの確立とGRK2のラット後根神経節における発現解析を行った。術後痛モデルとして足底切開モデルを用いた。ラット足底を1cm縦切開し皮下組織と足底筋に切開を加え縫合することでモデル作成を行った。モデル作成後に行動解析を行い、機械刺激と熱刺激に対する痛覚閾値を調査し、閾値が低下することをもって痛覚過敏と定義した。術後痛モデルでは、モデル作成直後から5日間程度の痛覚過敏が認められた。後根神経節を採取し、免疫組織化学法とウェスタンブロッティング法を用いてGRK2の発現を調査したところ、GRK2は一次知覚神経の細胞体を中心に発現していることが明らかになった。 本年度は一次知覚神経におけるGRK2の発現が足底切開モデルにおいて変化するかどうかについて、免疫組織化学法とウェスタンブロッティング法で解析した。足底切開から1週間後、GRK2は一次知覚神経で有意に発現が増加していることが明らかになった。 これらの所見から、知覚神経に発現するGRK2が足底切開後の痛覚閾値の変化に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された。今後、行動解析実験により、GRK2阻害剤の投与が術後痛モデルにおける痛覚過敏に与える影響を調査し、免疫組織化学法とウェスタンブロッティング法でGRK2の発現変化を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GRK2阻害剤を用いた薬理学的実験の進捗に遅延が認められる。
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今後の研究の推進方策 |
GRK2阻害剤をラットに投与する予備実験は終了しており、実験をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
GRK2阻害剤投与実験における行動解析とGRK2発現変化の解析に遅れが生じたため、次年度に繰り越しを行う。これらの実験は次年度に実行する予定である。
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