本研究は、マウス術後痛モデルの創部神経束においてPHDが存在することを突き止めた。PHD阻害は術後痛には影響なかったものの、術後局所発汗障害を改善した。PHD阻害は、交感神経保護作用を有し、予防的なPHD阻害が術後自律神経障害に対し保護的に働く可能性が示唆された。 創部の強い痛みや自律神経障害が慢性的に続く複合性局所疼痛症候群 (Complex regional pain syndrome: CRPS) では、術後創部における虚血が発症の一因とされている。CRPS患者の病理組織は本研究での知見に合致する点が見受けられ、PHD阻害が術後CRPSへの進展を予防する可能性も示唆された。
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