研究実績の概要 |
マウス筋芽細胞(C2C12細胞)を用いたin vitro実験を確立した。ウマ血清含有の培地に変更し5日間培養し細胞を分化させ、筋管形成を伴った細胞を確認した。この細胞を用いて、LPS投与を行い、筋萎縮を免疫染色による細胞幅の測定、ウエスタンブロッド法にミオシン蛋白の発現量の解析により評価した。また、蛋白分解に関連するユビキチンプロテアソーム系経路、オートファジー・リソソーム系経路を検討するため関連する蛋白(FoxO, LC3, p38MAPK, C/EBP, STAT3)の発現量をウエスタンブロッド法で、関連遺伝子(Atrogin-1, MuRF)をRT-PCR法で解析した。 各種刺激により筋萎縮を引き起こすことができ、LPS投与では直径やミオシン蛋白発現量の減少、またatrogin-1遺伝子の発現誘導を確認した。 現在はメトフォルミンによる筋萎縮への影を解析しているが、これまでのところ筋萎縮への抑制効果を認めておらず、引き続き投与量や投与時間の調整を行なっている。それに加え、刺激する種類についても検討を始めている。ICU-AWでは、敗血症などでみられるように炎症性サイトカインによる刺激だけでなく、低酸素やステロイド投与もその危険因子として挙げられている。これらの刺激による筋萎縮への影響を検討するため実験系の確立を行なっている。 また、不動化もICU-AWの大きな要因の一つであるが、これらの実験系はマウスを用いたin vivo実験でしか表現できない。当初は、in vitro実験によりメトフォルミンの効果を確認した上で開始する予定であったが、マウス実験の準備も進めている。
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