研究実績の概要 |
マウス筋芽細胞(C2C12細胞)を用いたin vitro実験を確立している。分化誘導を行った細胞に対してLPS刺激を行いメトフォルミン投与による効果を主にqRT-PCRを用いて筋肉における蛋白合成・異化、オートファジーやHIF-1関連遺伝子の発現量を解析することで検討を進めている。 当初の予定とは異なり、メトフォルミン投与のみでもAtrogin-1、Myostatinなど筋萎縮に関わる遺伝子が発現が誘導されており、またLPS刺激下でもその傾向は同様であった。筋萎縮に関わる遺伝子が増加した原因として、IL-6, TNF-aといった炎症性サイトカインの発現量を解析したが、IL-6, TNF-aとも増加しており炎症性サイトカインの関与が疑われるため、今後検討課題として研究を進める予定である。 一方で、酸化ストレスに対する影響を検討するため、H2O2刺激に対する影響を検討する実験を行った。H2O2刺激においてREDD-1やAtrogin-1といった筋萎縮に関連した遺伝子は発現量が増加するが、メトフォルミンはその発現誘導を抑制した。REDD-1はHIF-1関連遺伝子の一つであり、メトフォルミンによるHIF-1活性化への影響も含めて検討する必要がある。 LPS刺激とH2O2刺激によりやや傾向が異なるため今後についてこの違いに着目しつつin vitro実験を継続して行う予定である。ある程度の知見が蓄積された段階でマウスを用いたin vivo実験に移行する。COIVD-19の流行による影響は少なからず受ける可能性はあるが、qRT-PCRで得られた知見をもとにさらに研究を進めていくつもりである。
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