研究課題/領域番号 |
19K18273
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田口 真也 神戸大学, 医学部附属病院, 非常勤医師 (50803855)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ロクロニウム / 虚血 / マロンジアルデヒド / ヒポキサンチン / 筋電図 / 筋音図 / ターニケット / 人工膝関節置換術 |
研究実績の概要 |
整形外科などで四肢の手術を行う際は、無血術野の確保と出血量の抑制を目的として駆血帯(ターニケット)による駆血が行われることが多い。しかし長時間の駆血は神経筋組織の損傷を引き起こすため、手術直後に横紋筋融解症を生じた報告や、術後長期的に神経障害や筋萎縮が残存した報告などがある。これらの予防には駆血圧や駆血時間を最小限にとどめることが望ましいが、明確な基準がなく、また手術の進行状況によっては駆血時間を予定より延長せざるを得ない場合がある。その場合でも、虚血に陥った組織の酸素消費量を抑制することができれば細胞寿命は延長すると予想され、術後の合併症予防および機能回復を早めることが期待できる。 最近ラットにおける研究で、虚血前に非脱分極性筋弛緩薬ロクロニウムを投与することで筋細胞の壊死が予防できたとする報告があった。非脱分極性筋弛緩薬の一つであるロクロニウムは臨床において現在最も多く使用されている筋弛緩薬である。しかしヒトにおける局所酸素消費量抑制効果を目的とした投与はエビデンスがなく、一般的には行われていない。本研究の目的は、虚血に対する非脱分極性筋弛緩薬ロクロニウムの筋細胞保護効果およびそのメカニズムを明らかにして、より質の高い麻酔・周術期管理を患者に提供することで手術成績や術後の機能回復の向上に貢献することである。 平成31年度は、当院で人工膝関節置換術を受ける患者を対象に研究を行うことについて、当院倫理委員会に申請し、承認を得た。本研究で主要な評価項目となる筋電図・筋音図センサーの測定技術を習得し、また同様に評価項目となる血漿HPX(hypoxanthine)および血漿MDA(malondialdehyde)の測定方法を確立した上で研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で主要な評価項目となる筋電図・筋音図センサー測定技術の習得、また同様に評価項目となる血漿HPX(hypoxanthine)および血漿MDA(malondialdehyde)測定方法の確立に時間を要したため、当院倫理委員会への申請が当初の計画より遅れ、研究開始時期にも遅れが生じた。 また新型コロナウイルス感染症拡大の影響により予定手術の制限や延期が行われた結果、人工膝関節置換術の件数が減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により今後も人工膝関節置換術の件数が減少する可能性がある。したがって実行可能性を考慮し、必要であれば予定症例数の再検討も考慮して、令和3年度内の終了を目標に本研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により該当手術の件数が減少し、当初の研究計画から遅れが生じたため。
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