研究実績の概要 |
体重300-400g のOX/ATX-TGラット(n=6)を対象とし、麻酔下に所定の方法で脳波、筋電図導出用の電極を留置した。手術後は環境温24℃、明暗周期12 時間の恒温ケージの中で7日間飼育し環境馴化を図った後、コントロールの脳波、筋電図を24時間記録した。その後、LPS(1mg/kg)の腹腔内投与により敗血症モデルを作成し、脳波、筋電図を24 時間記録した。記録された脳波及び筋電図を10秒毎に区切り、各時間毎にラットの意識状態を覚醒、NREM睡眠、REM睡眠に分類した。統計学的検討に関しては、コントロールの脳波とLPS投与後の脳波を3時間ごとに区切り、各意識状態の量をTwo-way repeated measure ANOVAを用い比較し、Bonferroni法で時間毎の多重比較を行った。P<0.05で統計学的有意差ありとした。 コントロールに比べ、LPS投与後3時間までの覚醒時間(87.5% vs. 64.8%, p<0.05)が増加し、NREM睡眠時間(12.5% vs. 32.0%, p<0.05)が減少した。REM睡眠は10-12時間と13-15時間を除いた全て時間(1-3時間: 0.3% vs. 3.3%, 4-6時間: 1.0% vs. 3.4%, 7-9時間: 0.7% vs. 3.3%, 16-18時間: 1.2 %vs. 3.6%, 19-21時間: 1.1% vs. 4.2%, 22-24時間: 1.0% vs. 5.5%, p<0.05)で有意に減少した。以上をまとめるとOX/ATX-TGラットはLPS投与により覚醒時間が増加、REM睡眠が減少した。この結果からLPS投与により深い睡眠が障害されていることが示された。
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