オレキシン神経系は中枢神経系において抗炎症効果を示すことを過去に報告した。本研究では炎症を誘発する物質であるリポポリサッカライドの腹腔内投与による軽度全身炎症及び敗血症ラットモデルの睡眠障害とオレキシン神経系の関連を、成長に伴いオレキシン神経系が脱落する特性をもつ遺伝子組み換えラットを用いて検討した。睡眠障害は軽度全身炎症ラットモデルより敗血症ラットモデルで強くなったが、オレキシン神経系が脱落した遺伝子組み換えラットでは敗血症モデルのREM睡眠時間が野生型ラットに比べて短くなった。遺伝子組み換えラットの敗血症生存率が野生型に比べ低いが、その機序に睡眠障害が関わっている可能性を示すことができた。
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