研究課題/領域番号 |
19K18287
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
熊倉 みなみ 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (20827571)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 乳房再建術 / 生活の質 / 術後痛 |
研究実績の概要 |
乳房再建術は乳癌患者数の増加とともに世界的に急速に増加しているが、その半数以上に術後痛が発生し、患者の生活の質を落とし、社会復帰への支障になって いる。本研究は、従来の患者申告の主観的アンケート調査(生活の質と術後痛)に加え、客観的評価(術前の内因性鎮痛と術前後の機能的脳画像解析)を加える ことにより、術後痛発生因子を確立することを目的とする。また術後痛の詳細な部位別調査も加える。 痛みを客観視化する手法として、1内因性鎮痛(endogenous analgesia: EA)測定、2脳機能画像の二つがある。1内因性鎮痛は、ヒトの持つ生理的な「痛み の修飾調整」(conditionedpain modulation)を測定することにより、対象者がもつ内因性鎮痛能力(EA値)を数値化する手法である。2脳機能画像は、頭部の 磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging:MRI)のことであり、一般的にヒトを対象にしたマクロレベルでの脳科学研究として、脳形態、機能、機能 的ネットワークを用いた解析手法である。予定乳房再建術の周術期における客観的指標を取得し、主観的評価との相関解析することにより、術後痛発生因子を確 立する。われわれの確立している客観的評価とは、1内因性鎮痛測定と2脳機能画像解析であり、主観的評価とは、患者申告型のアンケート(BREST-Q日本版 と、部位別痛みの術後調査票)である。本研究では乳房一次再建30例を対象として、乳房再建前後の過程で生じる、生活の質(BRAST-Q)の調査の患者主観的変 化を、再建術前と術後(術後3ヵ月時以降)と比較することに取り組んでいる。痛みに関しては術後翌日の急性期と術後(術後3ヵ月時以降)を調査する方針と なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本報告書の執筆時点ではコロナウィルスの世界的なパンデミックにより、通常の診療と研究活動に影響が及んでいる。本研究対象疾患と患者も例外ではなく、ま た脳機能画像撮影についても困難な状況であるため、症例集積の度合いは減少しており予定通り進捗できていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
一次再建 30例を対象として、乳房再建前後の過程で生じる生活の質(BRAST-Q)の調査の患者主観的変化を、再建術前と術後(術後3ヵ月時以降)と比較する方針。先ずは倫理的手順を取得済の術後痛調査から採集し始めているところである。乳癌は、女性における癌罹患数最多であると同時に、比較的予後の良い癌である。そのため、乳癌患者の円滑な社会復帰は社会全体利益に繋がる。女性象徴の一つである乳房を再現する乳房再建術は、患者の行動変容を惹起し、社会復帰が推進されることが 示唆されている(一方で、遷延性術後痛の発生率は半数以上と高く、その後の社会生活と生活の質を著しく損ねる深刻な問題であるが、乳房再建術周術期管理の なかで、再建乳房の痛みのみならず、移植片(フラップ)側の引きつれや痛みを訴え、生活への支障を訴える患者が多いことに臨床的気づきとしてあった。コロナのパンデミックの影響が今年度どうなるかは未だ予期できず、研究の推進方策についても立てにくいところではあるが、脳画像解析についても可能な範囲で進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本報告書の執筆時点ではコロナウィルスの世界的なパンデミックにより、通常の診療と研究活動に影響が及んでいる。本研究対象疾患と患者も例外ではなく、ま た脳機能画像撮影についても困難な状況であるため、症例集積の度合いは減少しており予定通り進捗できなかったため。
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