研究実績の概要 |
本年度は、兎を用いた基礎実験を行い、予定通り完了した。仮説通り、兎重度ARDSモデルに自発呼吸を温存し、腹臥位にすることで、仰臥位群と比較して、 酸素化能が改善する (血液ガス分析で評価)、食道内圧から 呼吸努力が軽減することを確認、その結果4時間後の肺傷害 (肺組織中のMPO, IL-6mRNA, 病理組織学的肺傷害スコア)が減少していた。腹臥位は、自発呼吸関連肺傷害を軽減する可能性があることが基礎実験で証明でき、また臨床試験においても腹臥位で自発呼吸を温存できる実行可能性と安全性さらには呼吸努力が減少する効果も確認できた。 さらに、前年度終了していた臨床試験 (Prone Positioning and Spontaneous Breathing :PROSE study. NCT03768154)を論文化し、無事American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineにアクセプトされた。 これらの結果は、COVID-19患者に対するawake proneを支持する生理学的データとなる。また腹臥位中は従来筋弛緩+深鎮静が基本であったが、筋弛緩せず自発呼吸を温存するという選択肢を臨床医に示すことができた。
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