外傷性脳損傷は高次脳機能障害や長期記憶障害を引き起こし、受傷者の生活の質が低下する。手術および麻酔の侵襲により術後認知機能障害が生じるが、術前から認知機能障害を伴う場合、障害が重症化することが臨床上大きな問題となっている。近年、外傷性脳損傷後の認知機能障害、および手術後の認知機能障害に海馬に集積するマクロファージが関与することが明らかになってきた。本研究では、外傷性脳損傷慢性期に、デクスメデトミジンを用い、マクロファージの活性化を抑制し全身麻酔を受けた際に発症する術後認知機能障害を軽減することを検証した。さらなる研究を行うことにより術後認知機能障害の機序を解明し、予防法を確立する可能性がある。
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