研究課題
おおむね当初の研究計画通りに進行した。昨年度までに新たな疼痛関連遺伝子としての標的遺伝子を同定しており、その標的遺伝子が脳神経系のどこのレベルにおいて真に関与するのか詳細解析をさらにすすめた。当初は後根神経節や脊髄レベルに注目していたが、皮膚レベルにおいて興味深い結果が得られ、皮膚マクロファージにおける標的遺伝子について特に研究を推し進めた。その結果、標的遺伝子は皮膚マクロファージにおいて神経成長因子の発現を調節していることが分かった。さらに皮膚マクロファージにおける神経成長因子は神経細胞における痛みの感度を調節していることがわかった。皮膚マクロファージにおいて標的遺伝子を失ったマウスを作成したところ、そのマウスでは皮膚に損傷を与えなくても痛みの感覚が鈍くなっていた。このことは皮膚におけるマクロファージが異物排除に働くだけではなく、神経の感度調節にも働いていることを示しており、疼痛緩和の新たな薬物の開発にもつながる新しい発見と考えられた。今回の研究成果は、国際科学誌「Nature Immunology」に掲載された。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Nature Immunology
巻: 24(3) ページ: 439-451
10.1038/s41590-022-01418-5