重症患者の救命率は年々上昇しているが、長期予後の悪化や健康関連QOLの低下により医療費の増大を招くとして問題となっている。特に敗血症などの重症病態においては、回復後早期のリハビリテーションと適切な栄養投与が相乗効果をもたらし、患者の転帰を改善させる可能性がある。 重症患者に適切に栄養療法を行うために、間接熱量計を利用して重症患者の消費エネルギーを測定し解析することで、従来の100年以上前に欧米の健常人から作成されたハリスベネディクト式に代わる、重症患者一般に使用できる新しいエネルギー推定式を作成することをが本研究の目的である。 敗血症に特化して症例を検討し、新規作成した本予測式は従来の予測式よりも正確に消費エネルギーが予測できることが認められ、Kamiyama-Takemae Equqtionとして、Journal of Critical Care誌に発表した。(Takemae et al. Journal of Critical Care 2020;56:236-242.)。 また、2021年10月に開催された第8回日本臨床栄養代謝学会関越支部学術集会において、COSMED社の新型間接熱量計 Q-NRG+を用いた研究となる「間接熱量計を用いた人工呼吸器装着患者の安静時エネルギー消費量の実際」(金本、竹前ら)では、別の対照群患者においてもハリスベネディクト式では誤差が大きいことを発表した。現在論文化を目指している。
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