現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は「眼球超音波検査によるICP亢進の捕捉と予後」を目標とし、眼球超音波検査によりICP亢進のカットオフ値の測定と並行して予後予測を行う予定であったが、眼球超音波計の安全性が現在臨床的に担保できないことから、本年度は2020年度の「心肺停止後症候群の予後における脳障害の経時的炎症病態と多元的評価」に適切な炎症性サイトカインを再検討することを目的に小児の心停止後症候群とその他疾患における予後予測を目的とした炎症性サイトカインの後方視的検討を行った。2014年から2019年までのICU入室した小児症例で炎症性サイトカインを測定した33例について、血清・髄液のIL-6, IL-8, IL-18, neopterin, TNF-α, IL-1β, IL-10の後方視的検討を行った。死亡例・神経学的予後不良例についてhuman-tau蛋白の上昇が認められた。神経軸索内の微小管結合蛋白質であるhuman-tau蛋白は、近年血清NSEよりも心停止後症候群における神経学的予後を予測するための有益なバイオマーカーとして報告されている。今回の検討は小児であったが、同様の結果を示したことからも次年度「心肺停止後症候群の予後における脳障害の経時的炎症病態と多元的評価」を行う上で、早期の炎症性病態・神経細胞障害を予測することを目的に、human-tau蛋白についての測定を追加することは有意義であると考えた。
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