研究課題/領域番号 |
19K18317
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
赤間 悠一 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40763313)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自然リンパ球 / 敗血症 / 肺傷害 |
研究実績の概要 |
重症敗血症患者の致死率は先進国においても未だに20%を越えており、治療に難渋することが多い。重症敗血症では他臓器に傷害を呈するが、特に傷害を受けやすい臓器の一つが肺である。そのため、敗血症の治療においては感染そのものの治療に加えて臓器傷害に対する治療も重要となってくる。しかし、その発症メカニズムについては不明な点が多く、効果的な治療方法も無い。故に、病態の解明と新たな治療方法の開発が望まれている。 近年「自然リンパ球」と命名された新しい免疫細胞が見つかった。中でも2型自然リンパ球(group 2 innate lymphoid cells: ILC2s)は肺内に存在するILCの中で最も多く存在し、Th2細胞が関与する一連の免疫応答の初期誘導を担うだけでなく、恒常性の維持への関与もわかっており、敗血症性肺傷害においてILC2sの制御異常が予想されるが、詳細については不明である。 本研究では盲腸結紮穿刺(cecal ligation and puncture: CLP)による敗血症性腹膜炎モデルを作製し、肺中に存在するILC2の解析を中心に行った。傷害肺内ILC2sの機能解析のため、肺傷害度の半定量化とフローサイトメトリーを用いて共刺激分子を中心とした表面抗原の発現量やサイトカイン産性能の時間的変化を測定し、敗血症性肺傷害におけるILC2s活性化制御の動態を評価した。 今後は結果を詳細に解析するとともに、制御異常とそのメカニズムを解明していく。本研究成果は敗血症性肺傷害に対する新たな治療戦略の確立に大きく貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLPモデルを確立し肺傷害度の測定、解析を行った。また、同モデルにおける肺内2型自然リンパ球の表面抗原の発現量やサイトカイン産性能の動態を測定した。 解析条件の調整に時間がかかったが、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた結果の解析を行う。 敗血症性肺傷害におけるILC2sの制御異常とその詳細なメカニズムについても解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より消耗品が安く購入出来たことに加え、発表を予定していた学会が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中止となったため、次年度使用額が生じた。 残った金額は、敗血症におけるILC2の機能解析のための試薬や消耗品の購入費にあてる。
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