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2019 年度 実施状況報告書

高齢者敗血症における長期免疫評価とリンパ球活性化因子を用いた新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K18323
研究機関神戸大学

研究代表者

齋藤 雅史  神戸大学, 医学研究科, 学術研究員 (80826321)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード敗血症 / Interleukin-15 / 高齢者 / 免疫抑制
研究実績の概要

老齢マウスでの反復感染敗血症モデルを作製し、敗血症により誘導される免疫抑制に対するInterleukin(IL)-15の効果について検討した。
まず、Cecal slurryを反復投与することで老齢マウスでの反復感染敗血症モデルを作製することができ、末梢血中のT細胞分布を指標として、長期的な免疫抑制を観察することができた。その期間は、敗血症誘導から50日目までモニタリングしたところ、若齢敗血症マウスは40日目までに末梢血中のT細胞が回復するのに対して、老齢敗血症マウスでは50日を経過しても免疫抑制は遷延したままであった。また、詳細なT細胞のPhenotypeを解析したところ、もともと老齢マウスは若齢マウスに比べて制御性T細胞(Treg)やサイトカインに不応答なProgram cell death-1陽性T細胞(PD-1+ T cell)の割合が多く、逆に、NaiveT細胞の割合が少ないという特徴が見られたが、敗血症によってその傾向がより強まることが分かった。
次に、老齢敗血症マウスにIL-15を投与することで生存率が改善され、TregやPD-1+ T cellの割合が減少することが分かった。また、IL-15を投与した老齢敗血症マウスにおいて、血液中のNaive T細胞の割合が増加することが分かった。
以上の結果から、IL-15は末梢血中のT細胞分布を変えることで老齢敗血症マウスの重篤な免疫抑制を緩和していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

老化マウスのみならず、若齢マウスにおいても、敗血症による慢性的な免疫抑制を誘導することができるモデルを作製することができた。また、敗血症による免疫抑制に対するIL-15の効果も明確に示すことができた。
これからは、敗血症により誘導される重篤な免疫抑制に対するIL-15の効果をより明確にするために、T細胞のJAK-STAT経路の解析やNatural killer細胞や樹状細胞などの自然免疫系の細胞に対する効果を明らかにする必要がある。

今後の研究の推進方策

敗血症により誘導される重篤な免疫抑制に対するIL-15の効果をより明確にするために、老齢マウス由来のT細胞を用いて、その増殖率やシグナル伝達経路を生化学的な手法により解析する。
IL-15投与がマクロファージや樹状細胞などの自然免疫系細胞に与える影響について調べる。
IL-15KOマウス、あるいは抗IL-15投与によりIL-15のdepletion試験を行う。これにより、敗血症により誘導される免疫抑制に対するIL-15の効果をより明確にできる。

次年度使用額が生じた理由

実験系を構築するために考慮していたマウスの使用予定数を、数匹程度ではあるが、減じることが出来たためである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] IL-15 improves aging-induced persistent T cell exhaustion in mouse models of repeated sepsis.2020

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Saito, Shigeaki Inoue, Kimihiro Yamashita, Yoshihiro Kakeji, Takumi Fukumoto, and Joji Kotani
    • 雑誌名

      SHOCK

      巻: 53 ページ: 228-235

    • 査読あり
  • [学会発表] 高齢マウス反復感染モデルにおける長期的な疲弊の機序解明とIL-15の効果2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅史、井上茂亮、藤岡一路、小谷穣治
    • 学会等名
      日本Shock学会
  • [学会発表] 高齢マウス反復性敗血症モデルにおいて IL-15は遷延するT細胞疲弊を長期間改善する2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅史、井上茂亮、安藤維洋、山田勇、前田裕二、小谷穣治
    • 学会等名
      日本集中治療学会
  • [学会発表] IL-15は、高齢マウス敗血症のT細胞疲弊と マクロファージ機能を改善し、 長期予後を改善する2019

    • 著者名/発表者名
      齋藤雅史、井上茂亮、山田勇、安藤維洋、山下公大、掛地吉弘、福本巧、小谷穣治
    • 学会等名
      日本外科代謝栄養学会
  • [学会発表] Interleukin-15 improves aging-induced persistent T cell exhaustion in mouse models of repeated sepsis2019

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Saito, Shigeaki Inoue, Joji Kotani
    • 学会等名
      American shock society

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公開日: 2021-01-27  

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