敗血症患者の長期予後の改善を目的として、7週令マウスに敗血症を誘導したモデルを18ヶ月後に免疫細胞を中心とした解析を行なった。18ヶ月後の生存率は、Control群では死亡個体を認めなかったのに対し、敗血症群では70%であった(p=0.082)。予想に反し、血中のT細胞およびB細胞、NK細胞数は変化なかったが、骨髄系の細胞である好中球および単球、CD244陽性の骨髄由来抑制細胞は有意に増加していた。 また、行動試験により運動、認知、精神状態を解析した。その結果、精神に関する評価は顕著な差が認められなかったものの、Control群に対して敗血症群では運動機能および筋力が低下していており、さらに認知機能も低下していた。近年の研究から、脳における炎症がアルツハイマー型認知症やパーキンソン病と関連していることが示されていることから、脳の免疫細胞(グリア細胞とT細胞)を解析した。その結果、敗血症マウスはControlマウスと比較してミクログリア、アストロサイトおよびオリゴデンドロサイト数が有意に多く、また、CD8T細胞の顕著な増加も認められた。若齢マウスと比較して体重に対する脳重比は顕著な減少が認められたが、敗血症マウスとControlマウスでは差が認められなかった。同様に、脳における海馬比にも差は認められなかった。
|