出血性ショックに続発する肺傷害において、水素吸入による酸化ストレス軽減と臓器保護効果をラットで検討した。吸入酸素濃度を21%から98.7%とした群を作成し水素1.3%をそれぞれに添加、残りは窒素とした。ショック蘇生後3時間において、肺組織では98.7%酸素吸入が惹起した酸化ストレスを水素吸入が軽減し、肺組織障害の軽減が示された。かつ水素吸入による抗炎症作用の有益性が示唆された。臨床試験では出血性ショック患者の血中酸化ストレス値と病態との関連性は乏しく、酸化ストレスの評価方法は今後の課題となる。水素吸入は特に高濃度酸素投与時の組織障害軽減に有効と考えられ、水素吸入療法の臨床応用への一助となる。
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