研究実績の概要 |
本研究の目的は, 敗血症病態における免疫反応の動態の解明、特に未だ詳細な病態が把握されていないBregをはじめとする免疫抑制機構の把握として研究を開始した。 これまでに敗血症におけるB細胞の急性期の動態について, マウスCLPモデルを用いて研究を行い, 敗血症早期にBリンパ球減少が起こる中, PD-L1を発現し, IL-10を産生するBregが増加することを見い出した. Bリンパ球減少による抗体産生低下が起こり, 更にBregによるIL-10産生やPD-L1/PD-1によるTリンパ球, 単球の免疫抑制が敗血症における免疫抑制病態の重要な要素の一つであることを報告した (Biochem Biophys Res Commun. 2020; 523(1):202-207.). IL-5は腹腔のBリンパ球の維持に関与している. しかし, 敗血症病態におけるIL-5の関与は詳細には知られていない.現在 IL-5 Venus, KOマウスを用いたCLPによる敗血症病態の腹腔内での免疫反応について検討しているところである. これまでに, IL-5 KOマウスにおいて, WTマウスに比しCLPによる生存率の低下, 細菌処理能の低下を確認した. CLP後の腹腔内においても急激なBリンパ球の低下が見られ, CLP時のIL-5産生細胞をいくつか同定した. 今後さらに, IL-5の敗血症病態に影響するメカニズムの解明を進め, 治療応用につなげられるように研究を進める予定である.
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