研究実績の概要 |
我々はこれまでに敗血症で陥る免疫不全状態に制御性B細胞が関与することを示しました. その中で, PD-L1の関与がその病態に重要な役割を呈している可能性を見出しました. 今回, 敗血症との関連があまり報告されてこなかった, IL-5と, 敗血症やPD-L1との関連についてCLP(盲腸結紮穿刺誘発)での敗血症モデルを用いて研究を行っています. これまでにIL-5 KOマウスで, 敗血症病態での高い致死率や凝固障害が見られ, その原因の一つとして, 腹腔内の細菌制御不良が一因であることを見出しました. また, 敗血症病態での腹腔内のIL-5産生細胞はTh細胞とILC-2が主であるという結果を得ました. 現在, 腹腔内の細菌制御不良の原因に関して, 腹腔内マクロファージの機能やサイトカイン産生状況, PD-L1の関与を含めた探究を行っていますが, 明らかな関連は見られていません. 今後さらに, 原因究明と共に, 肺などの臓器障害や血管内皮細胞障害の評価を行う予定です.この原因を究明することで敗血症病態における免疫不全状態の病態解明や, それに対する治療法開発につながるものと考えられます。 さらに, これまで臨床研究で敗血症を含めた急性病態での凝固線溶動態やその異常についての究明を行っており, 今後, BED to BENCH, BENCH to BEDで今回行っている基礎研究に繋げていく予定であります。
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