研究課題/領域番号 |
19K18331
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
赤塚 正幸 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60808161)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リコンビナントトロンボモジュリン / 敗血症 / ラット / 腎障害 |
研究実績の概要 |
研究目的の一つである敗血症でのDAMPs蛋白の血中濃度の推移に関しては,ラット敗血症モデルでDAMPs蛋白の代表であるヒストン蛋白は経時的に上昇していることが示された.また,臓器障害との関連ではヒストン蛋白濃度の上昇に伴い腎障害が生じることが病理組織学的所見から示された.次に,3種類のトロンボモジュリン (レクチン様ドメイン+EGF様ドメイン,レクチン様ドメイン,EGF様ドメイン)の投与とヒストン蛋白濃度と腎障害に及ぼす影響を検討したところ,レクチン様ドメイン+EGF様ドメイン,レクチン様ドメイン,EGF様ドメインそれぞれのトロンボモジュリンの投与でヒストン蛋白濃度の抑制と腎障害の軽減を認めた. 一方,24時間生存率を検討するため3種類のトロンボモジュリン(レクチン様ドメイン+EGF様ドメイン,レクチン様ドメイン,EGF様ドメイン)の投与群と非投与群で比較検討を行った結果,トロンボモジュリンの投与群では非投与群よりも生存率が延長するということが示された.特に,トロンボモジュリンのうち,レクチン様ドメイン+EGF様ドメイン,レクチン様ドメインの投与が非投与群との比較において有意に生存率を改善したという結果となった. これらのこれまでの結果から,敗血症におけるヒストン蛋白の血中濃度の上昇と腎障害との関連性,そしてトロンボモジュリン(特にレクチン様ドメイン)のヒストン蛋白抑制効果と腎障害軽減効果について示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでの研究結果から,DAMPsであるヒストン蛋白と腎障害との関連,そしてトロンボモジュリンのDAMPs抑制効果と腎障害軽減効果について実証された.予定していた研究期間よりも早いペースで進んでいることから現状の研究を継続していくことで一定の結果をまとめることができると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究での敗血症モデルはラット腹膜炎による敗血症モデルとして作製した.今回のラット敗血症モデルは急性期におけるモデルとして検討を行っており、生存率は24時間生存率を検討した.臓器障害は肺と肝臓には明らかな臓器障害は認められなかった.肺や肝臓における臓器障害とDAMPs蛋白との関連を検討するためにはもう少し長期間観察を行う必要があるのではないかと考えられた.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は試薬などの購入が少なく支出が少額となったため,次年度への繰り越しとなった.次年度は当該年度に購入が困難であった機器や試薬などの購入費用として使用する予定である.
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