研究課題/領域番号 |
19K18333
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
三浦 敏靖 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (60618718)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 末梢静脈血液ガス / 前腕駆血 / 離握手 / 末梢静脈血乳酸値 |
研究実績の概要 |
血液ガスや乳酸値の測定は救急患者の重症度や病態を迅速に把握するために大変有用である。これらの測定は一般的に動脈血で行われてきたが、救急患者への動脈穿刺は出血や神経損傷など重大な合併症を引き起こすことがあるため、簡便性・安全性の観点から末梢静脈血での測定が注目されている。しかし末梢静脈採血時の駆血や離握手はCO2や乳酸を蓄積させPH/PCO2や乳酸値に影響する可能性がある。また、末梢静脈血酸素分圧(PvO2)に臨床的意義は見出されていないなどの欠点もある。駆血や離握手の影響を加味せずに末梢静脈血液ガスや乳酸値の正確な評価はできないが、この影響について研究報告はなく、本研究では、駆血や離握手は末梢静脈血PH/PCO2や乳酸値にどう影響するかを明らかにする。 初年度は、健康成人33人に対して、静脈路確保のための前腕駆血がPH/PCO2/乳酸値にどの様な影響を及ぼすか確認した。駆血なしの状態で前腕皮静脈に22Gカニューレを留置し、駆血前、駆血後5、10分の時点で静脈採血を行い血液ガス測定機(radiometer社 ABL800 FLEX 血液ガス分析装置)にて測定を行った。 (結果)駆血前PH/PCO2/Lac(mg/dL);7.390/44.2/10.2、駆血5分;7.395/42.9/11.06、駆血10分;7.398/42.4/11.33であった。つまり駆血を10分行っても各値には有意な上昇及び低下を認めなかった。また2分間の離握手後の値も確認したがこちらも有意な影響は認めなかった 臨床の現場で静脈路確保が困難な状況でも10分間駆血する、2分間離握手し続けるということはないため本結果より駆血や離握手によって静脈血液ガスの値が影響を受けることはないと結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究指導者である先進急性期医療学(救急科)教授との連携も強固な体制が既にできており、被験者への侵襲も軽微で倫理委員会への申請・承認は円滑であった。同様の理由から協力者にも難渋せず研究遂行が可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
健常人では駆血や離握手で静脈血液ガス及び乳酸値は影響されないことが判明したが、循環不全を遠なう場合、乳酸が蓄積した状態でどうなるかを確認していく。当初の予定通り、エルゴメーターによる運動負荷時、及び実際の救急患者ではどうかを確認していく予定である。またPvO2の臨床的意義についても検討していく
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次年度使用額が生じた理由 |
携帯用の結ガス測定器の購入、論文発表、国際学会での成果発表などに随時使用する予定である
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