研究課題/領域番号 |
19K18337
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
吉野 由希子 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (80813097)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HMGB1 / 骨軟部組織損傷 / 外傷 / ショック / 外傷後臓器傷害 |
研究実績の概要 |
本研究は、外傷や出血により生じた各種炎症性サイトカインが、濃度依存性に各臓器障害を誘導することを時系列で証明することで、炎症性サイトカインをターゲットとした新規治療およびその治療開始時期を提案することを目的とする。マウスとヒトでは、出血性外傷性ショックに対する血圧や炎症性サイトカインの反応性が類似することが知られている。人体で外傷出血性モデルを再現した場合には、侵襲が大きく人命に関わる事態となるが、今後の治療発展には意義のある研究である。
マウスに、吸入麻酔(イソフルラン濃度:3%導入後1.5%維持)を行い、マウスの苦痛に配慮した後、背部皮下に任意量の同種マウスの骨および周囲の軟部組織を移植し、骨軟部組織損傷モデルを作成する。予め、大腿動静脈にカテーテルを挿入し、大腿動脈は研究前後の動脈血液ガス分析採血用および実験中の平均血圧測定用、大腿静脈は脱血用および蘇生輸液用として用いる。まず、出血性ショックを想定した脱血を行い、平均動脈血圧40mmHg 以下のショック状態を 45 分間維持する。その後、蘇生時の輸液および輸血を想定し、脱血した血液とその 2 倍量の生理食塩水の混合液を120分間かけて体内に戻し蘇生する。
①コントロール群、②出血性モデル群、③出血性外傷性モデル群(骨軟部組織移植群蘇生処置前)、④出血性外傷性モデル群(骨軟部組織移植群蘇生処置後)に分けてデータを採取する。研究前後の動脈血液ガス分析の結果を比較し、実験中にラットがショック状態に至っていたことを確認する。観察期間(蘇生後1時間、3時間、6時間、12時間、24時間)に応じて各臓器を液体窒素処理後、冷凍保存する。各種採血および組織データを元に、比較検討および統計学的解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外傷性出血性ショックの程度および期間別に、各グループ最低3例以上の実験データが揃い、データ分析により関連分子(HMGB1)値との相関性を検討するところまで進行した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り研究を継続する予定であるが、コロナウイルス感染症対策として、臨床系研究室の利用が一部制限されたことを受け、当初の予定よりデータ収集スピードが大幅に遅延する可能性がある。場合によっては、研究期間延長の申請を行う。
今後は、データ数を増やし、実験結果の精度を高めるとともに、マウスを使用した他施設の過去の研究による蓄積データーとの比較が必要である。
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