血管内皮細胞表面に存在するグリコカリックスは血管の恒常性維持に対して重要な役割を果たしている。循環血液量増加で生じる機械的刺激によりグリコカリックスが障害されると水分の血管外漏出が増加するため浮腫形成および臓器障害が生じる。 多臓器にわたる心不全の臨床症状が出現する原因のひとつにこの血管内皮グリコカリックスの障害にあると仮定した。心不全で入院した患者において血管内皮グリコカリックスの障害マーカーである血清シンデカン-1濃度を測定したところ、血清シンデカン-1濃度が高値の患者は再入院また死亡率が有意に高値であった。また、心不全モデルマウスは多臓器にわたって血管内皮グリコカリックス障害が認められた。
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