脂肪塞栓症症候群(FES)は、脂肪粒子が皮膚、肺、脳などの多臓器に塞栓されることによって起こる稀な症候群で特に脳脂肪塞栓症(CFE)の発生率に関するデータはほとんどない。本研究では長骨・骨盤骨折における CFE の発生率を2016年4月から2020年3月までに岐阜大学医学部附属病院を受診した62名の患者に対し MRI を用いて検討した。臨床症状の有無にかかわらず、大腿骨または骨盤骨折患者の 5.0%(3/60) が MRI により CFE と診断され、5.0%(3/60)が CFE と疑われた。このことは、現在考えられている以上に、CFEが外傷患者に多く見られることを示しているのかもしれない。
|