研究実績の概要 |
本年度は、急性脳症9例/54検体、熱性けいれん51例/97検体、コントロールとしててんかんの合併のない発達遅滞の10例について、血液保存検体や髄液保存検体を用いてGDF-15と27種類のサイトカインの測定を行った。 急性脳症のうち出血性ショック脳症(HSES)の5例において発症24時間以内の血清中GDF-15の平均値は45352 pg/ml (HSES)でありコントロール(血清)の 271.5 pg/mlと比べ著しく有意に高かった。 一方、血清中サイトカインについても発症後72時間以内の経時的な推移を測定した。HSESにおける血清中サイトカインも血清中GDF-15と同様に発症後24時間以内にコントロール群より著しく高い値をとるものが多かった。IL-1b, IL-6, IL-8, IL-17, MCP-1, MIP-1bなど多くのサイトカインで24時間以内にピークとなりその後低下傾向が見られた。そして INFg, FGF, MCP-1など一部のサイトカインは発症後36時間以降はコントロール値以下に低下していた。 血清中GDF-15についてはミトコンドリア機能障害や炎症においても発現することが報告されている。今回のHSES患者でのGDF-15の上昇は、ウイルス性敗血症に反応した炎症、すなわち「サイトカインストーム」と相関がある可能性があるため、それらの相互関係について今後見当していく。
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