研究課題/領域番号 |
19K18360
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
二木 貴弘 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (30728184)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ECMO / 回路閉塞 / 炎症 / 凝固 / 白血球 |
研究実績の概要 |
体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)は、重症呼吸不全患者に対して用いられ、2019年から世界的に流行しているCOVID-19重症患者に対しても有効性が報告されている。しかし、しばしば遭遇する致死的な問題の1つに回路内凝血があり、人工肺や回路が閉塞すると生命の危機にさらされる。私たちは、これまでの予備検討において、従来想定されていた血小板や凝固因子ではなく、白血球が回路内凝血の原因に寄与していることを見出した。2019年度は、模擬ECMO回路や市販の人工肺を用いてin vitroでの回路閉塞をきたす条件を検証した。また、ブタの急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)モデルにECMOを導入し、回路内閉塞の病態との関連や使用する薬剤との関連を検討した。2020年度は、日本でもCOVID-19患者数の増加に伴い県外への移動が制限され、ECMO回路などの物品の調達が困難となり、ブタARDSモデルでの実験が行えなかった。そこで、ECMO回路閉塞と同様に回路内凝血が問題となっている持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)回路を用いて実験を行った。CHDF回路内において、細胞の損傷により放出される成分であるダメージ関連分子パターン(damage-associated molecular patterns:DAMPs)を測定したところ高値を示し、閉塞カラムの中空糸内には好中球の集積を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19患者数の増加に伴い、2020年4月に緊急事態宣言が発令されるなどあり、県外への移動が制限され、ECMO回路などの物品の調達が困難となり、当初予定していた実験が行えない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ECMO回路閉塞と同様に回路内凝血が問題となっているCHDF回路を用いて実験を行う。 また、今後、COVID-19が収束すれば、ブタARDSモデルにECMOを導入し、回路閉塞を抑制する可能性がある薬剤を用い、その効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により、実験施設への移動や物品の入手が困難となり実験が行えなかったため。 今後、研究が再開可能となれば、ブタARDSモデルにECMOを導入し実験を行う予定である。
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