研究課題/領域番号 |
19K18362
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田村 哲也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90381889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳低温療法 / ミクログリア活性 / エリスロポエチン |
研究実績の概要 |
・primary ミクログリアにおける確認 ミクログリア細胞株で行った実験を、ラット脳から抽出したprimary ミクログリアにおいても行なう予定であった。前回、primary ミクログリアの細胞は単離してしまう と増殖が悪かったため、他のグリア細胞と共培養をして増加させてからミクログリアを単離させたが、実験に必要な十分量の細胞を得ることができなかった。・蘇生後脳症に対する脳低温療法におけるミクログリアの役割 ミクログリアの細胞株であるBV-2細胞をlipopolysaccharide(LPS)で刺激した後、37℃の常温状態と33.5℃の低温状態にした。低温環境では炎症性サイトカイン、inducible nitric oxide synthase(iNOS)の発現が抑制された。さらに低温環境ではnuclear factor-κB (NF-κB) signal 経路の抑制や貪食能の低下がみられた。また、LPS刺激後の常温環境と低温環境にしたBV-2細胞とニューロンと共培養を行ったところ、低温環境ではニューロンの傷害が抑制された。・低温環境下におけるアストロサイトから分泌されるEPO ラット大脳皮質由来アストロサイトおよびニューロン初代培養を用いて解析を行った。アストロサイトを低酸素・無糖状態にするとEPO遺伝子発現が亢進することを確認した。さらに低酸素・無糖状態にしたアストロサイトを、引き続き低温状態(33.5℃)と常温状態(37℃)で培養し比較した。低温状態では常温状態に比べてEPOの発現が有意に上昇していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内容自体は計画通りには進んでおらず、前半の研究計画内容での結果が出せない状況ではあるが、研究計画の後半に設定した内容に関しては計画内容以上の結果を出せている。つまり、primary ミクログリアにおける確認実験や作用機序のさらなる解明に関しては結果が出せておらず、蘇生後脳症モデルの脳低温療法に重きを置いている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、in vitroの脳虚血モデルに対して、hypoxia inducible factor (HIF)-1α、HIF-2αの確認、さらに低酸素・無糖状態にしたニューロンに、低温状態にしたアストロサイトから得たコンディションメディウムを添加することで、ニューロンのアポトーシスが抑制の有無など、低温状況におけるアストロサイトからの内因性のEPO分泌や外因性のEPO投与による虚血脳細胞への影響などの内容を掘り下げていくことで、EPOのさらなる作用機序の解明をしていく。また同時にin vivoの実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
来年度はin vivoの実験を行う予定であり、マウスの購入に使用する予定。
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