ミクログリアの細胞株BV-2細胞をLPSで刺激した後、37℃の常温状態と33.5℃の低温状態にした。低温環境では炎症性サイトカイン、iNOSの発現が抑制された。さらに低温環境ではnuclear factor-κB (NF-κB) signal経路の抑制や貪食能の低下がみられた。また、LPS刺激後の常温環境と低温環境にしたBV-2細胞とニューロンと共培養を行ったところ、低温環境ではニューロンの傷害が抑制された。・低温環境下におけるアストロサイトから分泌されるEPOラット大脳皮質由来アストロサイトおよびニューロン初代培養を用いて解析を行った。アストロサイトを低酸素・無糖状態にするとEPO遺伝子発現が亢進することを確認した。さらに低酸素・無糖状態にしたアストロサイトを、引き続き低温状態(33.5℃)と常温状態(37℃)で培養し比較した。低温状態では常温状態に比べてEPOの発現が有意に上昇していた。 低酸素・無糖状態にしたアストロサイトを、引き続き低温状態(33.5℃)と常温状態(37℃)で培養し、低温状態では常温状態に比べてhypoxia inducible factor (HIF)-1α、HIF-2αのタンパク増加が起きることを確認した。さらに、どちらのサブタイプがEPO発現誘導により寄与しているかを解析した。HIF-1aとHIF2aをそれぞれノックダウンしたアストロサイトを低酸素にさらすと、HIF2aをノックダウンしたアストロサイトにおいてEPO発現誘導が抑制された。アストロサイトのEPO発現においてはHIF2aの寄与が大きいことが示唆された。 さらに低酸素・無糖状態にしたニューロンに、低温状態にしたアストロサイトから得たコンディションメディウムを添加することで、ニューロンのアポトーシスが抑制されることを明らかにした。
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