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2021 年度 実施状況報告書

熱傷による血中ビタミンD減少の病態解明と補充療法の有効性について

研究課題

研究課題/領域番号 19K18364
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

佐藤 幸男  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 専任講師 (00445272)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード熱傷 / ビタミンD / ミトコンドリア機能不全 / 耐糖能異常 / 筋消耗
研究実績の概要

【背景】近年、ビタミンDにミトコンドリアにおける好気呼吸に正の調節機構があることが明らかになってきている。本研究では熱傷モデルマウスを用いてビタミンD投与が熱傷における代謝の異常亢進の制御に寄与するかを解明しているが、熱傷下においても上述の好気代謝を促進するかは明らかでなく、それを検討した。指標として乳酸値を測定した。理由としては血中乳酸濃度は組織灌流のマーカーとして使用され、細胞性障害を反映すること、嫌気代謝の産物であることから用いることとした。熱傷面積が15%を超えると熱傷性ショックを来たし組織灌流が低下することが知られており、本研究では熱傷面積が20%のモデルマウスを作成している。
【方法】熱傷面積が20%のモデルマウスと対照群のモデルマウスを作成し、それぞれをビタミンD投与群と非投与群の合計4群に分けて、受傷1日目、3日目、7日目の血中および腓腹筋中の乳酸濃度をメタボローム解析により測定し比較した。
【結果】血中および腓腹筋中の乳酸濃度は受傷1日目において熱傷群は対照群よりも高値を示し、熱傷群のビタミンD投与群は非投与群に比べて有意に低値を示した(血中:8417.2±235.3 μM vs 10038.5±650.7 μM、腓腹筋中4092.2±396.0 μM vs 6552.8±821.5 μM、p<0.05)。
【考察】熱傷受傷後の急性期における乳酸濃度上昇をビタミンDは抑制した。ただし、本研究の限界としては熱傷モデルマウスが熱傷性ショックを来したかについては明らかにできていない。しかし、ビタミンDには好気呼吸を促進作用があることを示した結果と考えられ、更なる病態解明が必要と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍の影響で2020年度は遅延したが、2021年度に遅延を回復するよう努力を行い、当初計画していたのとほぼ同じ進捗状況まで回復している。

今後の研究の推進方策

コロナ禍による動物実験実施の抑制はほぼ解消されつつある。現時点で本研究は熱傷下におけるビタミンD投与による骨格筋、血液中の代謝産物の動態変化についてはデータを収集することが出来たており、研究成果として纏めるべく、追加実験としてビタミンD不足状況下における影響を同様に解析することを計画している。

次年度使用額が生じた理由

2020年度はコロナ対策で動物実験室への立ち入りが出来なくなり進捗が遅延した影響で、その分2021年度に研究内容を持ち越した。2021年度に遅延を回復すべく研究を進め、だいぶ進捗はしたが、2021年度はコロナ対策の動物実験室の換気工事のため後半半年間の動物実験の中断を要した。その部分の実験内容が2022年度(最終年度)に持ち越している。

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公開日: 2022-12-28  

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