研究課題
研究責任者が所属する日本医科大学付属病院 高度救命救急センターにおいては、薬物治験審査委員会からの承認を得て、ドクターカーで搬送する外傷患者に対して病院前でトラネキサム酸投与を行い、症例を蓄積している。他の研究参加施設においては、薬物治験審査委員会に申請中である。研究代表者は、過去に行った頭部外傷における凝固線溶系障害の研究をから、以下の知見を得ている。すなわち、受傷直後にはまず凝固系が亢進し(TAT高値で表される)、引き続き線溶系が異常亢進する(D-dimer高値で表される)。それに伴い、受傷3時間以内に急速に凝固因子が低下するが(Fibrinogenの低下で表される)、受傷6時間後には内因性の抗線溶がピークとなる(PAI-1上昇で表される)。これらの凝固線溶系障害の動態から考えると、凝固因子の低下や線溶系の亢進は受傷3時間以内に強いことが分かる。まだ症例数は少ないが、今回の研究において病院前でトラネキサム酸投与を行うことによって、受傷時、受傷3時間後のD-dimerが低下し、D-dimerのピークが早く、低くなる傾向がみられている。
4: 遅れている
研究参加施設における薬物治験審査委員会からの承認が遅れているため。
薬物治験審査委員会からの承認を速やかに得て、ドクターカーやドクターヘリで搬送する外傷患者に対して病院前でトラネキサム酸投与を行い、症例を蓄積する予定である。
本研究では、病着時に(株)LSIメディエンス社のfibrinogen分解産物に対する反応性が高い試薬でFDPを測定し、FDPやD-dimer、FDP/D-dimerと患者の経過や転機との相関を検討する予定であり、申請した外注検体測定費が必要である。また、本研究の経過や成果は、国内学会や国際学会で発表する予定であり、国際誌への掲載も目指している。さらに、最新の知見を得るためには、国内外への学会へ参加することも必要である。以上から、申請した旅費、その他の費用(外注検体測定費、学会参加費、英語論文作成費(英文校正・投稿費)が必要である。
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