凝固線溶マーカーの経時変化では、Fibrinogenは病院前トラネキサム酸投与群の方が受傷1日後から高値で推移しており、急性期を過ぎると凝固が亢進することが示唆され、血栓塞栓性合併症が多くなることの根拠となり得ると考えられた。また、D-dimerは病院前トラネキサム酸投与群の方が受傷1時間後は高値であったにも関わらず、受傷3時間後、6時間後は低値で推移しており、PAI-1は受傷6時間後で低値であり、病院前トラネキサム酸投与により受傷3時間後をピークとする線溶亢進が抑制されると考えられた。 凝固線溶マーカーの推移から、病院前におけるトラネキサム酸投与の影響が明らかとなった。研究の継続が必要である。
|