研究課題/領域番号 |
19K18368
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
原 義明 日本医科大学, 医学部, 講師 (20386197)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 骨癒合遷延 / Osteigenesis / Angiogenesis / Fibrogenesis |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、未だ有効な早期診断や治療法が確立されていない骨折後の骨癒合遷延に対し、標的となるmicro RNAを同定することで早期からの診断法を確立すると共に、学術的・社会的に高い意味を持つ新しい分子標的治療を実現させることである。 骨折治癒遅延に対する早期の診断と治療開始は合併症を防ぎ、骨折患者の臨床経過改善が期待できる。microRNAは塩基数18-24からなる小さなnon-coding RNAであり、タンパク発現における翻訳を抑制し、遺伝子の機能を調節する。近年の研究でmicroRNAsが人の血漿で安定した形での検出が可能となり、診断のための指標となっている。一方、骨再生時、促進的に働く主な機能的サイトカインとしてTGF-β1・BMP-2が知られている。これらの発現を直接抑制するmicroRNAや、これらのシグナルパスウェイ関連因子をターゲットとしたmicroRNAを同定することは、骨折治癒システムの解明に繋がるばかりで無く、早期からの骨癒合遷延に陥ることを示唆できるバイオマーカーになり得る可能性がある。また特定のmicroRNAをノックアウトすることで、骨癒合が促進されるかどうかの動物実験に発展させ、遷延治癒に対する早期治療へも応用できると考えられる。 microRNAは血漿中にも安定して存在することから、血漿内のmicroRNAの精査によって細胞内の環境を忠実に把握できると考えられる。骨癒合の過程では、骨折刺激がトリガーとなり骨癒合促進サイトカインが発現されることは多くの報告で知られている。このペプチドを調製しているmicroRNAが同定でき、骨癒合群と癒合遷延群でその発現には差があるとする我々の仮定が確認できれば、骨癒合促進の早期からの分子治療という新たな治療法が確立される可能性があり、学術的にも社会的にも極めて有益な研究となると確信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き骨折ラッドを作成し採血を試みる研究を継続しているが、コロナ禍でもあり当該科の臨床は多忙はを極め、実験日を設定するのが困難であった。そのため1年間、研究期間を延長する制度を利用した。安定した骨折ラッドを作成できるものの、骨癒合遷延景成が思う様に進まず、現在もその作成及び採血を行なっている。当初予定のn数を10-10として、今年度早期にデータ解析へ持ち込む様実験遂行中である。途中経過で、ラットのx線撮影方法に関する新しい知見を得たので、それを論文化し現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度前半に解析結果がでた後、学会発表及び論文投稿を行う予定である。学会発表、論文投稿は研究期間を超過する可能性もあるが、可能な限り早期の作成を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度持ち越した研究を次年度施行する予定です。
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