研究課題
SO1の単独投与では、肝障害敗血症(GalN/LPS)および肝部分切除後敗血症(PH/LPS)モデルラットでは生存率が十分に改善していない。そのため(1)SO1とメカニズムの異なる薬物を併用によって、抗炎症効果の相乗による生存率の押し上げが可能かを検討し、(2)異なる遺伝子に対するセンスオリゴが、ラット初代培養細胞において強い抗炎症効果を認めたため敗血症ラットモデルにおける効果を調べた。(1) ヒト敗血症領域で、汎発性血管内血液凝固症に対して使用される遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM)とSO1の併用効果を検討した。rTMはトロンビンによる血液凝固作用を調節する薬剤であり、加えて多様な機序で抗炎症作用も発揮する。PH/LPSラットモデルを用いて併用効果の検討を行った。70%の肝臓切除後にLPS(25 μg/kg)を投与して敗血症状態を作成した。LPSと同時にSO1(8 mg/kg)ならびにrTM(0.02 mg/kg)を投与して72時間生存率を確認し、併用群の生存率の延長効果を有意に認めた(未発表データ)。今後、経時的にサンプル採取して、メカニズムの解析を行う。また他モデルへの応用実験も行う。(2) GalN/LPSおよびPH/LPSモデルラットの肝臓に発現する、mRNAのマイクロアレイ解析を行った。代表的な炎症性サイトカインやケモカインなどの中から、顕著にmRNA量が変化する遺伝子を特定した。特定した遺伝子のasRNAの存在を確認し、asRNAに対して設計したセンスオリゴをラット培養肝細胞に導入した。標的候補遺伝子のmRNA量の増減を確認し、炎症関連遺伝子発現の増減を指標としてセンスオリゴの抗炎症効果を判定して、IL-1シグナル伝達系のセンスオリゴを見出した(未発表データ)。見出したセンスオリゴについてPH/LPSラットモデルへ投与し、現在生存実験を行なっている。
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