研究課題/領域番号 |
19K18374
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
真田 隆広 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (60835205)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Brain mapping / High gamma activity / Electrocorticogram / Awake surgery / Attenuation / Anesthesia |
研究実績の概要 |
脳皮質脳波の高周波律動(HGA:High gamma activity,60-170Hz)が脳機能局在を反映しているとされている。当研究は、従来の脳皮質電気刺激(ECS:electrocortical stimulation)マッピングに代替できる新しい脳機能マッピング法への改良を行うためにも、HGAマッピングに影響を与え得る因子について検証を行う研究である。 前年度に引き続き、症例の蓄積を行った。覚醒下開頭腫瘍摘出術において、一次聴覚野のHGAは全身下麻酔薬でプロポフォール濃度低下に伴うHGAの上昇することについてまとめた。2021年10月19日に国際学会The BCI Award 2021 Ceremony & IEEE SMC BMI Workshop で、麻酔薬が減衰し覚醒状態になる経過でHGAが上昇することを口頭発表し優秀研究賞にノミネートされた。 同一の掌握運動課題によるHGAの“慣れ”の現象に対する検討についても症例の蓄積を行い、これまでのデータの解析を行った。対象となった症例は当施設と近畿大学脳神経外科で合わせてこれまでに5症例あり、解析の対象となる電極は18箇所得ることができた。各電極において、20回分の掌握課題を10セット繰り返して得られた198個のHGA(課題刺激から0.4-1.0s)のデータを解析対象とした。HGAデータを経時的に並べた後に4つのグループに分けて一元配置分散分析を行うと、10箇所の電極で統計学的有意(p < 0.05)にAttenuationを確認することができた。現在も近畿大学脳神経外科と協力して症例の蓄積を行うとともに、オーストリアのGuger technologies社と共同して解析を行い、論文掲載に向けて準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
麻酔深度がHGAにおける影響に関する研究についてまとめ、世界中で注目されている神経科学者が集まる国際学会で口頭発表し、優秀研究賞にノミネートされた。同一課題による”慣れ”の現象がHGAに与える影響に対する検討についても、症例の蓄積を行うと同時に、統計解析によって客観的な結果を出すことに成功した。当初予定していた症例数より少ないが、課題の施行回数と得られるデータ、解析対象となる電極数を踏まえても、本研究課題から得られる結果は今後論文掲載に値すると考えている。以上から、本研究課題は現時点で概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も近畿大学脳神経外科と協力して症例の蓄積を行う。また、これまでに得られた結果の確認と追加の解析を行うとともに、Figureを作成し、国際学会及び論文掲載に向けて準備を進める。症例の蓄積と、これまで得られたデータの統計学的な解析をさらに進めていき、学会発表および論文掲載を行うことで、本研究課題の結果を世の中に発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響によって、国内及び国際学会への移動が制限されたため。次年度は新型コロナウイルス感染症の規制緩和の状況をみつつ、学会活動に参加し、その費用に充てる。また論文作成における投稿料金や解析に必要となるPCへの費用に充てる。
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