研究課題
脳皮質脳波の高周波律動(HGA:High gamma activity,60-170Hz)が脳機能局在を反映しているとされている。当研究は、従来の脳皮質電気刺激(ECS:electrocortical stimulation)マッピングに代替できる新しい脳機能マッピング法への改良を行うためにも、HGAマッピングに影響を与え得る因子について検証を行う研究である。覚醒下開頭腫瘍摘出術において、一次聴覚野のHGAは全身下麻酔薬でプロポフォール濃度低下に伴ってHGAの上昇することをまとめた。2021年10月19日に国際学会The BCI Award 2021 Ceremony & IEEE SMC BMI Workshop で、麻酔薬が減衰し覚醒状態になる経過でHGAが上昇することを口頭発表し、優秀研究賞にノミネートされた。同一の掌握運動課題によるHGAの“慣れ”の現象に対する検討については、合計10症例を蓄積しデータの解析を行った。運動と安静の時期を設け、運動時期には10回の掌握運動課題を10セット施行し、HGAを測定した。掌握運動課題によって統計学的有意(p < 0.05)なHGAの上昇が得られた合計52箇所の電極を解析対象とした。各電極において、掌握課題を10セット繰り返して得られた99個のHGAを経時的に並べた後に5つのグループに分けてKruskal-Waliis検定を行った。結果としては、グループ2以降のHGAがグループ1のものと比べて有意に低下(p < 0.05)した電極を23箇所(44.2%)認め、単純な掌握運動によりHGAの減衰が生じる可能性が示唆された。現在、近畿大学脳神経外科およびg.tec medical engineeringと協力して結果をまとめており、日本てんかん学会に発表すべく演題を提出している。また、本年中に論文掲載できるように準備を進めている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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