現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)膠芽腫組織に浸潤するT細胞のサブタイプ解析 手術症例で得た膠芽腫切片を、HE染色、免疫染色(CD3, CD4, CD8)で評価した。CD4+, CD8+ T細胞の割合とPFS(progression-free survival), OS(Overall Survival)などの臨床学的背景との相関を、単変量・多変量解析にて比較している。 2)次世代シークエンシング法による膠芽腫細胞TCRレパトア解析 腫瘍細胞および神経膠腫被験者の血清を対象とし、TCRレパトア解析結果を検証、治療標的となる膠芽腫抗原特異的T細胞の探索を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
膠芽腫切片における、CD4+CD25+制御性T細胞の割合を評価するため、腫瘍浸潤性リンパ球(Tumor infiltrating lymphocytes : TIL)の免疫染色(CD45RO, FOXP3, PD1, PD-L1, HLA)を行う。令和元年度に得られた所見に加え、臨床学的背景との相関を検討する。TILが乏しい群、CD8+T細胞の浸潤が高度にみられる群、FOXP3発現が高い群にグループ化し、膠芽腫検体より抽出されたmRNAを用いてリアルタイムPCR、各グループ間でのマイクロアレイ解析による比較を行う。 膠芽腫幹細胞マウスモデルを用いて、ペプチドワクチンと免疫チェックポイント 阻害剤との複合免疫療法の有効性を検証する。同定された腫瘍抗原投与法の最適化を行うため、腫瘍抗原ペプチドワクチンを投与後、一定期間後にCTL 解析を行い、最も有効なワクチンの投与法を決定する。次に、膠芽腫幹細胞マウスモデルを用いて、新規ペプチドワクチンと免疫チェックポイント 阻害剤(抗PD-1抗体、抗PD-L1 抗体、抗CTLA-4抗体など)併用投与後のCTL解析 、生存期間より治療効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究継続のため、下記消耗品の購入費を要する。 免疫染色に用いる抗体(CD3, CD4, CD8, CD45RO, FOXP3, PD1, PD-L1, HLA など)、膠芽腫幹細胞の培養に必要な培地・試薬(Neuro Basal Medium, B27, ヒトEGF, ヒトFGF, ヒトLIFなど)、スライドグラス・プラスチック・ガラス容器・保管培養に用いるフラスコなど、動物実験として、C57BL/6マウスの購入・当研究室で飼育のために用いる餌や床など。
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