研究課題
若手研究
転移性脳腫瘍の患者は増加傾向で、脳転移に対する有効な治療法が不足している。転移性脳腫瘍の発生機序は不明で、脳転移を抑制する薬剤はいまだ開発されていない。研究代表者は転移脳腫瘍患者の腫瘍組織よりがん幹細胞株を樹立した。これらはマウス脳に多発性脳腫瘍を形成することから、脳転移開始細胞と命名した。免疫関連分子であるICOSLGは、免疫応答のみならず細胞の浸潤や遊走に関与していることが報告されている。本研究は、脳転移開始細胞がICOSLGを発現することを明らかにした。
脳神経外科学
医学の進歩により、がんの原発巣の制御は改善され生存率は延長している。しかし、脳転移を来した場合は5年生存率12%といまだ予後不良である。脳転移を抑制する治療法はいまだ開発されていない。転移にはがん幹細胞が関与していることが提唱されており、脳転移巣には脳転移開始細胞が存在すると考えられる。本研究成果は、新たな脳転移の治療の分子標的を明らかにした。これまでにない、脳転移を抑制する新しいコンセプトの治療法の開発に広く波及できる。