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2019 年度 実施状況報告書

ホウ素中性子捕捉療法に用いる新規薬剤BAMPの性能評価

研究課題

研究課題/領域番号 19K18409
研究機関福山大学

研究代表者

白川 真  福山大学, 薬学部, 講師 (40707759)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードホウ素中性子捕捉療法
研究実績の概要

①新規ホウ素化合物であるBAMPの物理化学的性質の確認を行なった。MilliQ水およびPBSにホウ素濃度として20000ppmまで容易に溶解することを確認した。これによって、BAMPが顕著に高い水溶性を担保することが示唆されたが、20000ppm以上での実験を行なうのは、かかる費用の面で難しく、溶解度の算出には至らなかった。

②BAMPをマウス大腸癌細胞(CT26)およびチャイニーズハムスター肺線維芽細胞(V79 374A)に24時間曝露させ、細胞毒性評価を行なった。暴露濃度20000ppmまでで、WST法によりIC50を算出した結果、CT26細胞では収束せず、V79細胞では8567±3.93ppmとなった。比較群として用いた臨床用ホウ素薬剤BSHおよびBPAの値は、V79細胞において、それぞれ16366±4.21ppmと1181±3.07ppmであり、BAMPの高い安全性が示唆された。

③BAMPの薬物動態(in vivo)を投与後72時間まで確認した。CT26細胞を右下肢に皮下移植したマウス(BALB/cAJcl,female)にBAMPを10mgB/kgで投与すると、血中からは速やかに排出されるものの、腫瘍では6時間後から48時間後までほぼ一定に滞留し続けることが観測された。また、腫瘍以外の各組織(肝臓、腎臓、脾臓、脳、皮膚、左下肢の筋肉)にはBAMPはほとんど移行しない、または速やかに排出されることを確認した。このとき、腫瘍/血液比および腫瘍/正常組織(筋肉)比は最大でそれぞれで0.94±0.20と16.0±10.0であった。さらに投与量を増加させて24mgB/kgで投与すると、腫瘍内ホウ素濃度が3.02倍となり、腫瘍/血液比および腫瘍/正常組織(筋肉)比も1.89±0.28と40.28±27.0になり、大幅に改善された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成31年度計画における各種実験項目(溶解度試験、細胞毒性試験、薬物動態試験)を予定通り行うことができた。ただ、治療効果を確認するための照射実験(in vitro)が一部、原子炉が稼働中止となった関係で実施できなかった。

今後の研究の推進方策

計画はおおむね順調に進展しており、令和2年度においても計画通り進めて行くことを第一課題とする。平成31年度の各種データを補完するために、他の細胞(HUVECなど)での実験やマウスへの投与量や投与経路を変えた実験を検討する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は6473円と少額であり、次年度に予定される実験を行なうための試薬を購入するのに充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 新規ホウ素化合物(BAMP)の臨床応用に向けたin vitroおよびin vivo評価2020

    • 著者名/発表者名
      大本拓実、重藤真希、鮫島未森、亀川展幸、竹内亮太、堀均、中井啓、松村明、佐藤雄己、白川真
    • 学会等名
      日本薬学会第140年会
  • [学会発表] 新規薬剤PEG化ホウ素化合物(BAMP)のBNCT応用に向けた治療効果の評価2019

    • 著者名/発表者名
      白川真、中井啓、大本拓実、重藤真希、吉田文代、竹内亮太、鈴木実、堀 均、松村明
    • 学会等名
      第16回日本中性子捕捉療法学会
  • [学会発表] Development of novel boron cluster conjugated PEG derivative for BNCT2019

    • 著者名/発表者名
      M. Shirakawa, K. Nakai, F. Yoshida, T. Omoto, M. Shigeto, R. Takeuchi, H. Hori, Y. Sakurai, M. Suzuki and A. Matsumura
    • 学会等名
      10th young researcher’s Boron Neutron Capture Therapy
    • 国際学会
  • [学会発表] ホウ素中性子捕捉療法をがん標準治療とするための薬剤開発2019

    • 著者名/発表者名
      白川真、中井啓、大本拓実、重藤真希、吉田文代、亀川展幸、竹内亮太、堀 均、鈴木実、松村明
    • 学会等名
      第58回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会

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公開日: 2021-01-27  

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