研究課題
ホウ素中性子捕捉療法(Boron neutron capture therapy:BNCT)に対する新規ホウ素薬剤としてホウ素クラスター化合物(Sodium mercaptoundecahydro-closo-dodecaborate)とポリエチレングリコール(PEG)を化学結合させたBAMP(Boron Attached Multi-arm PEG)を開発した。BAMPは現在臨床応用されているp-boronophenylalanine(BPA)と比較して、低用量にも関わらず高い抗腫瘍効果が得られた。また、in vitroにおける毒性試験とCT26細胞を皮下移植した担がんマウス((BALB/cAJcl, female))に対する体重測定や行動観察により顕著な毒性を示さないことが明らかになった。加えて、中性子線照射後においても主要組織(肝臓、腎臓など)に対する放射線障害などは観察されなかった。さらに、抗腫瘍効果のメカニズムとして、BNCR(Boron neutron capture reaction)の他にBAMP暴露後の細胞に対するDNAマイクロアレイ解析の結果から、BAMP投与による抗腫瘍免疫の活性化が示唆された。以上の結果は、19th International Congress of Neutron Capture Therapyを含む2件の国際学会および8件の国内学会で発表した。また、これらの結果をまとめた論文を重要な学術雑誌へ投稿すべく準備している。今後は臨床応用に向けたフェーズに入るが、BAMPは合成が容易でその構造から高い収率と水溶性を兼ねており、臨床応用に早期に移行できる可能性がある。企業との共同研究によりGMP基準で製造されたBAMPに対する追実験を行う予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
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